安価に質の高いソフトを開発する方法

  皆さんが社内業務の改善を目的としたソフトを開発しようとして、ソフト開発会社に依頼すると、見積もりの高額なことに驚くかもしれません。数千円のゲームソフトでも数億単位の開発費が掛かることがあるように、ソフトの開発は想像以上に費用がかかります。そのため、高額なソフトを発注したにも拘わらず、「大したことがない」ということは、よくあることなのです。

 しかしこれは一般的な場合です。
 ある特定の条件を満たすことができれば、安価にソフトを開発することができます。それも驚く程の高品質のソフトを低価格で開発することができるのです。

 では、その条件とは何でしょう。それは以下のものです。
    ・パッケージソフトメーカーに、ソフトの開発を依頼する
      ・その会社の、優れた技術者に開発を依頼する
・開発言語を指定しない。
というものです。

 パッケージソフトを開発してる会社は極めて少ないので、縁故関係でもなければソフトの開発を依頼するのは難しいかもしれません。そして、その会社の優れた技術者に開発を依頼するというのですから、更にハードルが上がります。
しかし、もしもこれができれば、驚く程、高品質のソフトを低価格で開発することができるのです。

パッケージソフトメーカーに、ソフトの開発を依頼する

ソフトの開発経験が豊富

パッケージソフトはインストールCDと取扱説明書をパッケージに梱包して、販売ルートに流通させるソフトのことです。不特定多数の人を対象としているので、洋服に例えると既製品のスーツと言えます。自社で「売れるソフト」を企画開発して、これを販売することで収益を上げるといった、薄利多売を原則とするものです。

 これに対して、お客様の要望により開発するソフトを受託開発ソフトと言います。こちらはオーダーメードのスーツに相当します。お客様の作りたいソフトを個別に開発するものです。そして、ソフトを開発する際には、一般的に受託ソフト会社にお願いします。
 ただ、ここには落とし穴があるので注意が必要です。

 業態にもよりますが、受託ソフト開発会社は大手ソフト開発会社の下請けをしているところが多いのです。その場合には、技術者はソフトを設計した経験がないので、スムーズに開発が進まない場合もあります。これは自動車メーカーの下請けをしているからといって、自動車を作れるわけではないのと同じで、慣れていない技術者が、全体の設計や開発を行うことは大変なことなのです。

 ソフトを開発するには、最初にお客様の要望を聞くことから始めます。技術者はそれに基づいて設計・開発を行います。ただ、お客様は専門家ではないので、「製品が仕上がってから不足している機能に気づく」ということが往々にしてあります。しかしこの段階で「このような機能が必要だった。」ということになると、予算がオーバーしたり、納品が間に合わなかったりと、お客様との関係を損ないかねないのです。必要なのは打ち合わせの段階で、運用時に不可欠な機能や問題点を把握する能力ですが、これには経験が必要です。
 パッケージメーカーの技術者は設計や開発に慣れているので、その点ではパッケージメーカーに依頼した方が無難かもしれません。

使い勝手が良く高品質

 面白いのは、パッケージメーカーと受託ソフト開発会社の技術者では、ソフトに対する考え方が異なることです。
 ソフトの開発はお客様の要望する「インプット情報からアウトプットを導き出す」ものですが、これ自体のプログラムはそれほど難しいものではありません。

 手間が掛かるのは、保存や読み込み・編集などの周辺の機能です。そして特に、見ているだけで分かる、使い易いソフトにしたり、どんな使い方をしてもエラーが発生しない品質を確保しようとすると手間が掛かります。 
 パッケージソフトの場合は不特定多数の人が操作するので、この使い勝手や品質が重要になります。お客様が「使えない」と感じるものや、「操作中にデータが消えた」のでは、マーケットの評価を得られずに売れないからです。

 一方の受託開発ソフトでは、発注元の予算内で開発するために、「使い方が少しくらい複雑でも良い」となったり、「それほど高い品質を求めなくても良い」と、なり勝ちです。
 そのため、ソフトの運用が始まると、「そんな使い方をしたら、データが消えるのは当たり前です」と、開発側が指摘することもあるのです。

 パッケージソフトメーカーと、受託ソフト開発会社ではこのような違いがあるので、同じ目的のソフトを開発するにしても、ソフトに重要と考えるポイントが異なります。前者は「使い勝手」や「品質面」のこだわりが捨てきれないので見積もりが高額になります。反面、後者は予算内で開発することを主目的にすると思います。

優れた技術者に開発を依頼する

 パッケージメーカーの開発するソフトは、品質は良くても高額です。しかし、ここにも注目すべきポイントがあります。それは非常に高いスキルをもつ技術者なら、短時間でソフトを開発することができるというものです。そして、パッケージメーカーにはそういった高いスキルを持つ技術者が存在します。

 受託ソフト会社では、技術者の数が利益に結び付くことから、「標準的なスキルを持つ技術者をどれだけ集められるか」ということが、経営上のテーマになります。
 対して、パッケージメーカーでは「飛びぬけて優秀な技術者を確保する」ことがテーマになるのです。
 これは「売れる製品」を作らなければならないからです。
 パッケージメーカーでは企画段階で「売れる製品」をつくるために様々な可能性を議論します。そしてアイデアが生まれる度に、「このような機能は実装可能か?」と、技術者に尋ねます。
 優秀な技術者は、どんな要望を出しても「できない」とは言いません。
 要望を実現するためのロジックが頭の中に浮かぶのでしょう。「できない」という代わりに、その機能を実装するための開発工数を回答します。
 逆に未熟な技術者では、どんなものでも「それはできません」となってしまいます。しかしこれでは、どんなに売れそうな企画が生まれても、製品を開発できないのでメーカーとしてなりたたないのです。

 そして、優秀な技術者は、誰も予想しないような速度で開発することが往々にあります。3日ほどかかると思っているものを、数時間で完成させてしまったりするのです。このような優秀な技術者にソフトの開発を依頼できたなら、驚くほど高品質のソフトを低価格で開発することのできるのです。

開発言語を指定しない

 もう一つ大事なことは、ソフトを開発する上で開発言語を指定しないことです。
 ソフトを開発するための言語(プログラムの一種)は多岐にわたります。発注元が大手企業の場合には、メンテナンス要員が使っている言語で開発することを求めることがあります。
 その際に、請け負ったソフト会社の技術者がその言語に慣れていない場合には、試行錯誤や勉強しながら開発することになります。そのため受託ソフト会社の技術者は、幅広い開発言語の知見を持つことが多くなります。

 一方のパッケージメーカーの技術者は、自社製品の開発言語以外は使ったことがありません

 そのため、ソフト開発を発注する際には開発言語を指定しないことが求められます。普段用いている言語には精通していますし、これまで開発した部品も流用できるので、高品質のソフトを低価格で開発するには必要なことです。

当社の受託開発スキーム

 当社は平成2年に創業したパッケージソフトメーカーです。主に土木技術系のソフトを開発しています。技術者は設計、開発、品質管理といったソフト開発に必要な業務に精通しています。その技術者の中に、飛びぬけて優秀な技術者が2名います。

 次のようなことがありました。以前、(株)リコーとソフトの共同開発プロジェクトを行った時のことです。一般的なファイルソフトでは使い勝手が悪いことから、本棚型のファイルソフトを内作することになりました。
 これは当社の企画だったことから、当社が設計作業を行い、(株)リコーが開発作業を行うことになりました。設計が完了し、(株)リコーが開発要員をアウトソース先から探すことになったのですが、「外注先が見つからない」ということが起きました。
 設計書に理解できないところが有ったのか、何れも設計書を見せると断ってくるというのです。このような状況下でしたが、(株)リコーのプロデューサーは力のある人だったので、当時のリコーグループで最高峰の研究機関といわれた、鳥取技術研究所が開発することになりました。
 先方の見積もり金額は相当な高額だったようですが、「ここしか引き受け手がなかった」とのことでした。高いスキルを持つ技術者の考えは、同様の技術力を有した人でないと会話が成り立たないのかもしれません。

 以前、フィリピンのApti Philippinesという会社とお付き合いをしたことがあります。そこの社長は日本人で優秀な方でした。彼はプログラムの開発という仕事は、これまでのどんな仕事とも違うといっていました。「普通の仕事なら出来る人と出来ない人の差は多くても10倍程度だが、プログラム開発は比較ができない。解けない人は一生解けないし、優秀な人は直ぐに解いてしまう。」とのことでした。飛びぬけて優秀な技術者は、計り知れないプログラム上の問題解決能力を持っているようです。そして、その能力は飛びぬけた結果を生みます。

 今回、当社は受託開発事業を始めることにしました。それは、大手企業が発注する大きなプロジェクト開発の受け皿は合っても、中小企業が求める小さな規模のソフト開発の受け皿がなかったからです。そして、「驚く程の高品質のソフトを低価格で開発する」ためには、パッケージメーカーの技術者で、尚且つ飛びぬけて優秀な技術者が開発に当たる必要があったことから、当社の優秀な技術者の1人を担当に抜擢しました。若いのですが「仕事のできる」エピソードには事欠かない人材です。
 パッケージメーカーの受託開発は、全国的にも珍しいと思いますが、このスキームなら「驚く程の高品質のソフトを低価格で開発する」ことができるはずです。
 ソフト開発を検討されている方で、当社のスキームに興味のある方は、一度お問い合わせいただければ幸いです。

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